□little cheese
−黒と金の開かない鍵。
【奏】
「ん……っ」
腕をそっと引かれた所までは覚えている。
気付くと、お互いの唇が触れていた。
キス―――――だ。
透央の髪の毛がさらさらと風になびく音が聞こえた気がする。
苦しいぐらいに鼓動が高鳴っている。
人通りは途切れていたけど、こんな風に公衆の面前でだなんて……。
目を閉じる直前。川の水が、朝日で光っていた。
一秒、二秒と時間が止まった気がした。
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